暑い季節になると、熱中症を予防しようと、こまめに水分を摂るようにする人は多いと思います。
しかし、水分を摂っていても、熱中症になってしまう時があります。
水分補給に大切なことを含め、熱中症になりやすい環境や熱中症にかかりやすい人はどんな人なのかを知り、さらに対策を強化していきましょう。
熱中症とは?
高温環境に居たり、スポーツや作業などで体を動かしたりする時、人間は体温調節機能があり、皮膚血管を広げたり、発汗したりし、体温を一定範囲内に保とうとします。
しかし、その負担が強いと、脱水、塩分欠乏、高体温になり、体温調節機能が働かなくなり障害が生じます。
これが「熱中症」です。
以前は「日射病」と言っていました。私の子供のころ、外で長く遊んでいると、「日射病になるから、日陰に入りなさい」とよく言われたものです。
「日射病」は、屋外での太陽に長く当たっていたことが原因での障害を指しています。
しかし、日射のない屋内で、同じ症状の障害が出る人が増え、幅広い意味を持つ「熱中症」という言葉が使用されるようになりました。
熱中症になりやすい環境
●気温・湿度が高い時
約31度以上の気温になると、人間は体温を維持するために、発汗します。
発汗することで、体内の熱を放散するのですが、詳しく言うと、皮膚表面上に出された汗が蒸発する時に体熱が奪われ、体温を下げる効果が出ます。
なので、汗でも、蒸発せずにだらだら流れ落ちるような汗は、体温を下げてくれていないということになります。
皮膚表面から、汗が蒸発するということは、環境の湿度に影響されます。
湿度が高い時には、発汗しても蒸発しないので、体温が下がりにくく、体温調節がうまくできなくなり、要注意です。
●風がない時
皮膚表面上に出た汗は、風があると蒸発しやすくなります。
蒸発するということは、熱が体内から出され体温を下げることになります。
風がないと、汗が蒸発しにくくなり、熱の放出が減ります。
●日差しが強い時
気温、湿度、風の条件に加え、強い日射は体に負担がかかります。
また、地面からの照り返しにより、さらに体に負担が出ます。
照り返しが強いのは、アスファルトやコンクリートです。
●急に気温が高くなった時
暑い日が続き、体がその暑さに慣れている8月、9月よりも、暑さが本格化する前の4~6月などでは、体の暑さへの抵抗力が低いです。
このころに急に気温が上がると、それほど高い気温でなくても熱中症になりやすくなりますので要注意です。
熱中症になりやすい人
●肥満
皮下脂肪が多いほど、体熱の放散がしにくくなります。
●体調が悪い時
体調が悪い時には、体力が低下しています。
運動中だけではなく、日の差し込む、風通しの悪い室内でも熱中症になる可能性があるので要注意です。
特に、下痢、発熱、食欲不振、疲労感を感じている場合、体が脱水状態になっていたり、体力が低下していたりしますので、塩分の入った水分を摂り気を付けましょう。
●運動習慣のない人
運動は体力を増加させる他、様々なストレスに対する抵抗力も増加します。
なので、運動をあまりしない人は、その抵抗力が少ないので、熱中症になりやすいです。
●汗をかいているのに、水分補給が十分でない人
運動や作業に熱中して、まだ大丈夫と自己判断し、水分補給が十分に行われず、気が付いたら熱中症になっていたという事があります。
気持ちで頑張っても、体内の失った水分は補給されませんので、性格的にまじめで熱心になってしまう人は、気を付けましょう。
●エアコンばかり使う人
昼間1日中冷房の効いた部屋から抜け出せないような人が、急に熱い屋外に出ると、暑さに対する抵抗力がないため、熱中症になりやすいです。
普段から、暑さを経験しておくと抵抗力を高めますので、冷房の使う時間を決めたり、設定温度を上げたりするなど、工夫しましょう。
※暑さに慣れるためと、まったくエアコンを使わないでいるのは、室内でも熱中症になりやすくなります。
●高齢者・乳幼児
高齢者、乳幼児は、体温調節機能が低いため、周りの人が気を付けてあげることが大切です。
高齢者の場合、熱中症の事故の約半数が屋内で起こっていると言われています。
湿度が高い浴室に入った時や睡眠時に熱中症が起こりやすいので、お風呂や睡眠の前後に塩分が含まれる飲料で水分補給することをおすすめします。
水分補給の仕方
体温を下げるには、汗をかくことがとても有効ですが、生命維持に大切な体内の水分を失ってしまいます。
水分を失ったまま放置すると熱中症になりかねません。
発汗で失った水分はなるべく早く補給することが大切です。
汗で失ってしまう水分には、ナトリウム、カルシウムなどの電解質が含まれています。
なので、水のみの補給では補えません。水のみの補給ですと、血液の塩分濃度が低下してしまいます。
また、血液中の塩分濃度が低下すると、本来の塩分濃度に保とうと体が頑張ってしまいます。そして、血液の塩分濃度を戻そうとして水を尿で排出してしまい、脱水がさらに進んでしまうことになります。
大切なのは、塩分が含まれた飲料で、水分補給することです。
※緑茶は、カフェインによる利尿作用があり、尿の排出で水分が抜けてしまう原因になりますので、熱中症対策には向きません。
まとめ
汗をかいて、熱放出することは大切ですが、その際に体の水分を失っていますので、その分の水分補給を忘れずにしましょう。
水ではなく、塩分が補給できる飲料を選ぶことが大切です。
そして、水分補給は、少量をこまめに摂ることが、熱中症対策として効果的です。